「Ty Nant」のボトルをデザインしたロス・ラヴグローブ氏の作品集「supernatural」を眺めてみる。そこには、ペットボトル、椅子、自転車、テーブル、照明器具、螺旋階段など、うねるような曲線で構成されたプロダクトが並ぶ。いずれも、水や骨、樹木、人体、民族家具などといった有機的な対象をモチーフにしている。
「Ty Nant」の図面も少しだけ載っている。図面と言っても、3次元で表現されたコンピューターグラフィックによるものである。立面図や平面図などで表しにくい「Ty Nant」の形態は、自由に回転できる3次元の図面で表現される。ペットボトル表面の割付は、3次元で各面を同時に考えないと全体がつながらないのだろう。サイバー空間でバーチャルなボトルを作りながら検討しているようだ。
フランク・ゲーリーも同じようにサイバー空間内で一度建築をすべて建ててしまうという。最近では、リチャード・セラも同じような3次元ソフトを使って作品の構造を計算しているそうだ。
建築やアート、そしてプロダクトデザインの世界で、サイバー空間における緻密な作業が展開されている。一方、ランドスケープデザインはもともと地形という不定形な要素を相手にしてきた。しかし、ランドスケープデザインの事務所では、いまだに等高線を読み取って模型を作成し、その模型を見ながら地形の改変について話し合っていることが多い。今、複雑な起伏のデザインが求められた場合、建築家やアーティストやプロダクトデザイナーのほうが面白い解答を提示する可能性が高い。
等高線を読み取って模型を作りながら地形改変をスタディする方法に限界があるのなら、3DCGについてしっかり勉強するべきだろう。「やっぱり等高線を読み取ることが大切だよね」とか「模型を手でじっくり作ることは何物にも変えがたいな」という言葉は、「3DCGという方法」を完全にマスターしてから使いたいものだ。
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山崎
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