2004年11月23日火曜日

「思考の変遷」

アーキフォーラムが週末に迫ってきた。第1回のゲストは隈研吾さん。今週は隈さんの著作を読み進むことによって、週末の論点を整理したいと思う。

隈さんの著作は1986年から2004年までに8冊出版されている(図面集などは除く)。

10宅論(1986)
住宅を10種類のパターンに分けて特徴を明確にしたもの。10種類をフラットに扱うことによって、建築家が設計する住宅だけが特別偉いわけではないことを示している。

グッドバイ・ポストモダン(1989)
1985~86年に滞在したコロンビア大学で、ポストモダンの建築家11人にインタビューした結果をまとめたもの。ポストモダンのムーブメントを冷めた目で分析している。

新・建築入門(1994)
「建築の歴史」を独自の視点でまとめたもの。旧石器時代から現代までの建築を眺めることによって、建築が内在せざるを得ない「構築」という手法を批評している。

建築的欲望の終焉(1994)
1986年にアメリカから日本へ帰ってきた後で発表した文章をまとめたもの。コロンビア大学時代に思考した1920年代の終焉と1980年代の終焉に見られるアナロジーについて検討している。

建築の危機を越えて(1995)
1977~87年(23~33歳)までに発表した文章をまとめたもの。本文は、建築に対する懐疑的な視点に始まり、建築がもたらす罪悪を認識することで終わっている。

隈研吾読本(1999)
二川さんのインタビューに答えるなかで、自作の考え方や「建築」との距離感を語ったもの。磯崎新さん、廣瀬通孝さん、中沢新一さんとの対談も収められている。

反オブジェクト(2000)
自己中心的で威圧的な建築(オブジェクト)を批判しながら、自作を解説したもの。オブジェクトにならない建築の作り方を模索している。

負ける建築(2004)
1995年以降に書いた文章をまとめたもの。建築は環境を破壊する。建築はお金やエネルギーを浪費する。勝ち続けようとする建築に対して、負けることで成立する建築のあり方を模索している。

以上の著作を読み進むことで、隈さんの思考の変遷を辿ってみたい。27日のアーキフォーラムまで、あと5日。隈さんの思考の変遷に僕の読書時間が追いつくかどうかが不安である。

山崎

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