国立京都国際会館を見に行く。
国立京都国際会館は、ウルトラマンセブンのなかで地球防衛センターとして活躍していた建築である。確かに地球全体を守っているかのように堂々たる外観の建物だ。いや、外観だけではない。この建物の中で話し合われていることもまた、まさに地球を守るために必要な議論である場合が多い。有名な「京都議定書」を採択した地球温暖化防止京都会議(COP3)も、この会議場で執り行われている。
写真で見ていた時の印象と違って、実物の国立京都国際会館は思いのほか巨大な建築だった。建築というよりはむしろ戦艦、あるいは都市といった巨大さである。竣工は1966年。設計は大谷幸夫が担当している。
とにかく「斜め」が多い、というのが全体的な印象である。大谷の師匠である丹下健三は、垂直と水平で「日本的なるもの」を捜し求めた。これに対して大谷は、傾斜と水平を用いることによって「日本的なるもの」を表現しているようだ。斜めの手すり。斜めの照明。斜めの柱。斜めの壁。斜めの刈り込み。外観や庭園だけを見ても、「斜め」の要素が多用されていることに気づく。
建築内部にも「斜め」がたくさん見られるだろう。そう思ってロビーに入ったとき、受付の女性に呼び止められた。一般人は建築内部の見学ができないのだという。
「国立」京都国際会館。国の税金を使って建てた建物とはいえ、その内観を僕らが自由に見学することはできない。重要な会議を行う場所である。自由な見学を認めて、万が一誰かに危険物を設置されたりすると大変なことになる。だから一般人の見学は不可だということなのだろう。わからない話でもない。
そういえば、冒頭に挙げた「ウルトラマンセブン」の撮影クルーも国立京都国際会館の内部での撮影を断られている。そのため、地球防衛センターの外観は国立京都国際会館を使ったが、内観は芦屋市役所を使うことになった。実際、室内ロケのほとんどは芦屋市役所で行われていたようだ。
仮に地球防衛センターというものが実在していたとしても、一般の見学者という立場からいえば現在の国立京都国際会館と似たような排他性を持つことになっていただろう。地球防衛センターの一般見学を可能にしてしまったら、それこそ地球の未来が危なくなる危険性があるのだから。
斜めの柱や斜めの壁で構成される逆台形型の建築形態は、それを見る人に対する排他性を強調している。威圧感がある。ウルトラマンセブンのプロデューサーが地球防衛センターに求めた特徴は、この威圧感であり一般市民が近寄り難い雰囲気だったのだろう。
斜めの柱や壁
斜めの刈り込み
斜めの柱
斜めの低柵
山崎
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