日本の国内総生産が減少すること、あるいは経済成長がマイナスになることには、負のイメージが付きまとう。確かに、人口増加時代にGDPが減少したり経済成長が鈍化したりすることは不安を煽る。人口が増えているのに全体としての収入が減っているように感じるからだ。しかしこれからは人口減少時代。人口が減少するのだから、全体としての収入が減るのは当たり前だ。GDPが減少したり成長率が鈍化することに憂いを感じる必要はない。むしろ、1人あたりのGDPがどうなっているのかのほうが重要だろう。
さらに言えば、1人あたりのGDPが減っていても、少ない収入で幸せに暮らす方法を体得した人が増えれば問題はない。広告に煽られて、本当に必要なものかどうかを自分で判断せず、流行のモノや新しいモノを買わされ続ける生活は、常に「アレが買えないから不幸だ」「あそこへ旅行にいけないから不幸だ」という気持ちに苛まれる。これでは、一人当たりのGDPが増えようとも、幸せな生活を送れる人はなかなか増えないだろう。国民総生産(GNP)よりも国民総幸福感(GNH)を重視しようとするブータンの政策に学ぶことは多い。
『日本縮小:ダウンサイジング社会への挑戦』には、以下のような記述がある。「環境への負荷や土地の制約を考えれば、量的な縮小はプラスかもしれない。しかし、売り上げ増を追求する企業や、人口増が繁栄と考える自治体が依然、多数派だ。前向きな縮小とは何か、条件を探る必要がある」。
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