2009年11月12日木曜日

『都市へのあこがれ』

『都市へのあこがれ(鹿島出版会)』を読む。

面白い企画である。東大の槇研究室を卒業した人たちが、槇研で学んだこととその後の自分の取り組みを語るという本。1人4ページの読み切りが34人分続く。槇研は10年限定の研究室だったので卒業生は約60人ということだから、ほぼ2人に1人が文章を書いていることになる。

それにしても多彩な面子だ。同じ研究室を卒業したとはいえ、やっていることは多種多様。建築の設計に携わっている人が多いが、大学で教鞭をとる者、NPOを主宰する者などさまざまだ。また、一言で「設計に携わっている人」と言っても、その内容はさらに多様である。いずれも槇研で学んだことを現在の活動に接続させながら語っているが、その広がりはかなりなものである。

中でも、持田文彦氏の「何を計画するのか?」、池田靖史氏の「グループ・フォームから自己組織的な建築と都市へ」、清家剛氏の「『環境コーディネーション』というデザイン」、新堀学氏の「使い手の想像力を誘発する」、田中耕一氏の「<商売っ気>も大切ですよ」という5つの論稿に共感した。大切にしたいと思っていること、これから取り組もうとしていることが同じ方向だと感じられたからだ。

こういう人たちを生み出すことができる「大学の教員」という仕事は、シアワセな生き方につながっているのかもしれないな、と思わせてくれる本だった。

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