夕方から「安心・安全のまちづくり」に関する研究会に出席する。放送大学の林敏彦さんが座長を務める研究会である。今回のゲストスピーカーは、兵庫県警察本部の水田均さんと大阪大学の小浦久子さん。
■ 水田さんの話で面白かったのは以下の点。
・日本には犯罪学を教える大学がない。
・単に治安を良くするというだけではなく、国民の体感治安を高めるべきだろう。
・警察が関わる「安全」は、防犯と防災と事故防止の3点。防災と事故防止は他の機関と連携できるが、防犯だけは警察単独の仕事である。
・防犯については民間と協力し始めている。ヤクルトや牛乳や新聞を配達している人と協力したり、コンビニやガソリンスタンドと協力して地域の防犯に努めている。
・少年犯罪の数は増えていない。しかし少子化で子どもの人数が減っているので犯罪率は上がっていることになる。
・「振り込め詐欺」ブームは長く続かないだろう。早晩減り始めるはずだ。
・リスクを全て回避しようとするリスクマネジメントから、最悪の事態を回避するクライシスマネジメントへと移行する時代がきている。
・犯罪と商売は同じ原則に従っている。つまり「リスク」と「リターン」である。ハイリスク/ハイリターンを選ぶか(現金輸送車強奪)、ローリスク/ローリターンを選ぶか(ひったくり)は、犯人の追い詰められ度合いによって変わる。
・従って、防犯の原則はリスクを高めてリターンを低めることにある。コンビニに5万円以上の現金を置かないように指導しているのも同じ原理である。
■ 小浦さんの話で面白かったのは以下の点。
・震災後の空き地や低未利用地、ニュータウンに見られる空き家や空き地など、空いた場所をどうマネジメントしていくのかはかなり重要な課題である。
・空いた土地のマネジメント如何によって、都市の安全や安心は大きく左右される。
・人口減少社会では、ダイナミックな人口移動が起きる。
・既成市街地で土地が流動化し、超高層マンションなどが建設される可能性が高い。
・オールドニュータウンでは、居住者の高齢化が進むとともに空き家や空き地が増加する。
・人口は郊外から既成市街地へと移動することになる。
・今後は人口が減少するので、床需要や土地利用需要も減少する。
・オールドニュータウンや埋立地などについては、居住者をどのように集約化してその他の土地を山や海に戻すか、という議論が始まっている。
今回の研究会でも人口減少が話題に上った。人口減少時代の空き地や空き家の問題を、安心・安全のまちづくりへどうつなげるのか。この研究会を通してそのことを考えていきたいと思う。
山崎
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