2005年4月6日水曜日

「静かな空間と騒々しい内装」

午後8時から大阪市立大学の瀬田史彦さんと食事をする。都市計画が専門の瀬田さんと、郊外住宅地の将来について話し合った。

食事をしたのは、阪急梅田駅の茶屋町口近くにある「りゅうぼん」というお店。従来の居酒屋とは違って個室が多く、静かなのでゆっくり話ができる。特に時間制限もないため、食事中に急かされることもない。新しいタイプの居酒屋だと言えるだろう。

この店を出てから気づいたのだが、隣の店も向かいの店も、向かいの店の隣の店も、あたり一体に同じ系列の居酒屋が建ち並んでいる。「あほぼん寺」「恋のしずく」「エレファントカフェ」「りゅうぼん」と変わった名前が多く、内装や外装も驚くほどキッチュなものが多い。その道路の並びに建設中のビルがあったが、そこにも同じ系列の居酒屋が入ることになるだろう。仮囲いの隙間から、すでにそのキッチュな外観が垣間見られた。

この系列のお店には、従来の居酒屋のような騒がしさはない。とはいえ、高級料亭のような敷居の高さもない。カッシーナの家具が並ぶモダンなカフェのような緊張感もない。リノベーション系のお店のような手作り感もない。そこにあるのは、過度にキッチュな空間だけである。そんなお店に多くの客が集まり、ゆっくりと食事や会話を楽しんでいるのだ。

居酒屋が持っている「気取らない雰囲気」を「騒がしさ」ではなく「キッチュさ」で担保している店、と表現すれば的確だろうか。あの静けさに洗練された空間が組み合わさってしまうと、僕らはちょっとした緊張感と格好良さを求められることになる。静かだけど気取らない雰囲気が担保されているのは、内装があまりにも騒々しかったからなのかもしれない。

山崎

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