一緒に模型を作ってくれた大学院生から、さっきメールが届いた。どうやら今月号のA+Uに、同じような駐輪用スリットを持つ広場が載っているらしい。添付されていた画像を見ると、確かに「駅前駐輪プラザ」のスリットと似ている。瞬間的に「真似されたか!」と思ったが、実際そんなわけはない。ヨーロッパの建築家がすでに実現させている写真である。真似できるとすれば、その可能性は100%こちら側にある。
自分とまったく同じアイデアが遠くはなれた地で実現していることを知ったときの気持ちは説明しにくい。悔しい気持ちに少しだけ嬉しい気持ちが混ざった感覚といえば表現できているだろうか。悔しいけれど、少しだけ可能性を感じるのである。
この空間を設計したアレス・ヴィルトグートは、普通の自転車置場にスリットを利用している。でも、それではスリットを使う意味が十分に機能していない。車輪止めが地表面に突出しない「スリットという特性」を十分活かすためには、その平面形態についてのスタディがもう少し必要なんだと思う。僕が可能性を感じているのは、きっとこのスタディに関わる部分なんだろう。
近い将来、スリットを活かした駐輪スペースをしっかりデザインしてやろう、と思う。でもきっと、アレス・ヴィルトグートが僕の設計した空間を知ることはないだろう。その逆はあったとしても。
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山崎
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