2004年12月5日日曜日

「もうひとつの側面」

東京学芸大学の学生4人と話をする機会があった。サッカー部に所属する彼らは試合のために大阪を訪れていた。

礼儀正しく、周囲に気を配り、話題が豊富で、楽しい会話を次々と展開する4人だった。偏見かもしれないが、この特徴は僕が考える典型的な「体育会系の学生」である。個人差はあるものの、彼らは総じて外向的な性格の持ち主だった。初対面の僕もすっかり昔からの知り合いだったかのように夜中まで話し込んだ。

彼らは外交的であると同時に柔軟である。話題の変化にも即座に対応する。ひとつの考え方に固執しない。これは、変化への対応を即座に迫られるスポーツをしている人の特徴なのかもしれない。僕が考える外向的で柔軟な人(外/柔タイプ)の特徴は以下のとおりである。

・礼儀正しい。
・ノリがいい。
・場の雰囲気を即座に理解する。
・声が大きい。
・話のテンポを大切にする。
・話題が豊富である。
・盛り上がるとどこまでも調子に乗れる。
・話の切り替えが早い。
・諦めが早い。

一方、最近の僕は文化系の人とプロジェクトを進めることが多い。これまた偏見かもしれないが、文化系の人は内向的な性格の持ち主が多い。内向的で頑固な人が多いような気がするが、なかには内向的だけど柔軟な人もいる。僕がいま一番気に入っているのは、この「内向的で柔軟な人」である。鉄道マニアやコンピュータマニア。このフィールドに、実はかなり魅力的な人たちがいることに気がついたのである。

内向的で柔軟な人(内/柔タイプ)は以下のような特徴を持つ。

・じんわりと面白い話をする。
・少人数だとかなり面白い話をする。
・ひとつの話題を長く語り合う。
・物事を整理して考える。
・コツコツと作業を進める。
・緻密な作業を得意とする。
・完璧を目指す。
・簡単に諦めない。
・約束したことをちゃんと覚えている。
・友達を無駄に増やさない。
・ひとつのことにじっくりと取り組む。

ここ数年、僕は上記のような「内/柔タイプ」の人間になりたいと思って努力してきた。鉄道マニアやコンピュータマニアの友人から多くのことを学んだ。まだ完全な「内/柔タイプ」になれたわけではないが、それでも少しずつ理想像に近づいていると自惚れている。いずれ僕は憧れの「内/柔タイプ」の人間になるはずなのだ。

そういう状態で、体育会系「外/柔タイプ」の学生と接したのである。それはとても新鮮な体験だった。東京学芸大学サッカー部の学生4人との会話は、自分が持つもう一つの本質を呼び戻してくれた。かつてラグビー部に所属していた体育会系「外/柔タイプ」の人間だということを、僕に思い出させてくれたのである。

今でこそ自分が「内/柔タイプ」の人間であるかのようにすました顔をしているものの、僕はもともと体育会系「外/柔タイプ」の人間なのである。長い間「内/柔タイプ」の人たちと一緒にいたから、自分もそれに近づいたのではないかと勘違いしていただけなのだ。

文化系の生活を送っている人も、たまには体育会系の人と接するべきである。そうすれば、自分が本当はどちらのタイプに属する人間だったのかを見極めることができるからだ。

文化系/体育会系という2項対立はケシカラン、という意見もあるだろう。僕もそう思う。人間にはどちらの側面も宿っているのだから。でも、だからこそひとつの側面だけをアクティブにし続けないほうがいいと思うのである。もう一方の側面を顕在化させるような状況に身を置くことを薦めるのである。

そんなことを考えながら、僕は体育会系の学生4人とスポーツの話や体臭の話、女の話や金の話などを楽しんだ。

山崎

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