2008年6月22日日曜日

アーバンスタイルラボ(森本武さん)

午後からスタジオにて、『負のデザイン』の著者である森本武さんをお迎えしてアーバンスタイルラボを開催しました。
大阪府産業デザインセンターの杉本さんが森本さんと知り合いだということが発覚(!)し、ぜひとも一度お話をお伺いしたいということから実現した会合でした。

森本さんからは、デンマークの政府や行政や生活がいかに人間的で豊かかを紹介してもらいました。逆に、日本における節度のない消費社会化の問題点や、ものごとの基本概念についてじっくり考えてみることの必要性についてもお話いただきました。

教育問題、環境問題、食の安全性、福祉問題など、さまざまな問題が世界レベルで議論されていますが、人間が生じさせるこの種の問題は、人間のどういう性質から生じるものなのかをしっかり考えてみる必要があるのではないか、という森本さんの意見に、近頃「忙しいから」という理由で哲学的に物事を考えなくなってきた自分を恥ずかしく思いました。哲学的に物事を考えるということは、特に難しい言葉を使って考えることではなくて、生活の実感から問題を掘り下げて考えていくことなのでしょうね。個別の問題解決に奔走するのではなく、その問題を引き起こしている人間性について考えてみたいと思います。

そのことが、これからの都市のあり方を考える基本的な概念に繋がるんでしょうね。

2008年6月21日土曜日

アウトサイダー・アート

午後から民族藝術学会の例会へ行きました。僕はいえしまプロジェクト、マゾヒスティックランドスケープ、OSOTO、ホヅプロなどについてお話し、兵庫県立美術館の服部正さんはアウトサイダー・アートについて講演されました。

アウトサイダー・アートという考え方はとても興味深いものでした。概念自体は1860年ごろに誕生したとのこと。ランドスケープアーキテクチュアの誕生も1860年ごろですから、アウトサイダー・アートとランドスケープアーキテクチュアは同い年くらいだということになります。

アウトサイダー・アートの発端は、精神病患者などがアートの教育を受けないにも関わらず、誰に発表するわけでもなく、生活の必要に駆られるわけでもなく、ただ黙々と創作し続けたものが精神科医などに注目されるようになったことなのだそうです。精神科医にしてみれば、黙々と創作活動を続ける患者たちが、患者ではなく、ある種の芸術家なのではないかと感じたようです。1920年ごろまでは、精神科医などが患者の芸術家的側面を強調することによって、アートの外側にいる人たちのアートという意味で「アウトサイダー・アート」が注目されることになりました。

一方、1920年ごろから先は、アートの内側にいる人たちにとって外側から大文字の「ART」を批評するものとしてアウトサイダー・アートの概念が拡がることになります。芸術的計略性に満ち溢れた「ART」ではなく、機能も発表も何もしないけど作り続けるアウトサイダー・アートのなかに、アートが本来持っていた純粋性を見出していたんだろうと思います。それが、当時のアート界を外側から刺激することになったのでしょう。

僕たちも「アウトサイダー」としていえしまや島ヶ原といった地域に入り込みます。当初は驚きの目で見られたり、反発があったりしますが、外部から見た視点で地域の良さや問題点を指摘することができます。このことによって、内部にある種の変化を起こして、それをまちづくりの原動力にしているのかもしれません。

まちづくりに重要な人間として、「よそもの、わかもの、ばかもの」の3人を挙げられることが多いですね。考えてみれば、この3種類の人間は地域の自治会などにとってはいずれもアウトサイダーとして目される人たちなのかもしれません。

そう考えると、アウトサイダー・アートがどのように大文字の「ART」を刺激し、変容を生みだし、入り込み、ある意味で飼いならされていったのかを追ってみたいものです。幸い、服部さんが『アウトサイダー・アート』という本を書いていますので、まずはそれを購入して勉強させてもらおうと思っています。

2008年6月17日火曜日

西神小児心身症研究会

西神小児心身症研究会というところで、こどもの遊び場をこどもとデザインすることについて講演することになりました。
あそびの王国の設計プロセスやガキクラというプレイリーダーの組織化、そしてユニセフパークプロジェクトのマネジメントなどについてお話しようと思います。

日時:2008年7月9日(水)19:00-20:30
場所:西神戸医療センター4階会議室(神戸地下鉄西神中央駅から徒歩5分)
タイトル:こどもが遊ぶ空間をデザインする-ユニセフと協力しての子どもの遊び場づくり-
主催:西神小児心身症研究会

山崎

2008年6月12日木曜日

イヴニングレクチャー京都へ行ってきました。

京都造形芸術大学で講義した後、京都のメディアショップで開催されたイヴニングレクチャーへ行きました。あいにくこの日に限って風邪で声がほとんど出なくなってしまい、集まってくれた人たちには申し訳ないことをしました。マイクで声を拾って大きくしてもらって、かすれ声を聞き取ってもらうようなレクチャーになってしまいました(笑)。

にもかかわらず、30名を超える学生さんや社会人の方々に集まってもらうことができました。来場してくれたみなさん、どうもありがとうございました。

京都市立芸術大学のメンバーや京都造形芸術大学のメンバーをはじめ、京都工芸繊維大学、龍谷大学、京都建築大学校、京都女子大学など、いろんな大学の学生が集まってくれました。また、建築未来研究所の北川さん、けんちくの手帖を一緒に主宰している吉永さん、ローバー都市建築事務所の野村さん、RADの川勝さんなど、社会人の方々も会場に来てくれました。さらに、小川治兵衛の店「植治」の小川さんも会場に来られていました。日本庭園も伝統を刷新させていく時代だという小川さんの認識は、まさに僕たちがスタジオで共有しているものと同じ種類のものでした。いつか一緒に仕事がしてみたいものです。

260枚用意したパワーポイントでしたが、声の調子が悪かったのと時間がなくなってしまったので、150枚くらいでお話を区切りました。残りの100枚分は、また別の機会があればお話しようと思います。どうやら、また秋ごろにメディアショップさんで続きをやらせてもらえるようです。
その際には、今回集まってくれたみなさんにもぜひ再会したいものですね。

山崎