2008年8月19日火曜日

i+d workshop のこと



このたび、studio-Lは博報堂と協働して「issue + design workshop」を立ち上げることになりました。
デザインの力で社会的な課題を解決しようという学生が集まるワークショップであり、同時にコンペ形式の提案をつくりあげるプロジェクトです。

最近は特に、「今日新しいものを明日古くする」ためのデザインが多く、新しいデザインは人々の興味を惹くため、購買意欲を高めるためだけに消費されているような気がします。そもそも「Design」は、「De=sign」であり、新しいカタチを示すだけのサインから抜け出すという性格を持った表現行為だったはずです。ところが、デザイン=新しいカタチ=オシャレ=消費という連鎖があまりに強い経済的結びつきを持ったために、建築雑誌をはじめとするメディアのほとんどが差異化のためのデザインを繰り返し紹介することになっています。さらに、こうしたメディアを通じて「デザイン界」を頭の中に作り上げる学生たちにとっては、社会で働くフィールドは消費社会型デザイン業界しか存在しないという錯覚に陥ってしまうことがあります。

ところが、デザインのフィールドは消費社会の反対側にも大きく広がっています。売れるためのデザインではなく、社会の課題を解決するためのデザイン。そんなフィールドが世界にはたくさん広がっているということを、現役の学生たちに知ってもらいたいと思って立ち上げたのが今回のプロジェクトです。

日本ではあまり紹介されませんが、世界には福祉や教育やホームレスや難民や戦争や病気など、いろいろな社会問題に取り組むデザイナーがたくさんいます。残念ながら、この人たちの仕事を紹介する雑誌を発行しても儲からないという理由だけで、この種の情報が日本国内にほとんど入ってきません。本プロジェクトでは、できるだけこうした世界での動きを紹介するとともに、デザインの社会性や社会の課題を解決するために果たすべきデザイナーの役割について考えたいと思います。また、同時に特定のテーマに対する自分たちの提案をつくりあげることによって、社会的な課題を解決する自分なりのデザイン手法を身につけてもらいたいと考えています。

第1回目となる今年のデザインテーマは「震災後の避難生活をデザインする」。日本を始め世界各地で頻発している自然災害。こうした災害後の避難生活にはさまざまな課題が内在しています。こうした課題を見つけ出し、課題の問題構成を明らかにし、デザインによって解決策を探るというのが今年のテーマです。

僕が学生だったらこんなワークショップに参加してみたかったな、というフレームに基づいて今回のプロジェクトのスキームを組み立ててみました。具体的には以下のような「あったらいいな」に基づいたプロジェクトです。

・提案内容が認められれば全国各地で発表させてもらえる。
・そのたびに各地(神戸や福岡や東京)を旅行させてもらえる。
・同じような想いを持った日本中の大学のいろんな専門分野の学生と知り合える。
・自分たちの活動や作品が書籍として出版される。
・最後まで勝ち進めば、提案を商品化してもらえる可能性がある。
・有名デザイナーのアドバイスを受けながら作品をブラッシュアップする機会が与えられる。

プロジェクトの第1回は9月28日(日)です。交通費支給の関係により定員制のワークショップになりますが、より多くの学生からの参加を期待しています。申し込みは9月5日まで。
2名1組のチームにて応募してください。大学や学部を問わず、コンビを結成して応募することが可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。
たくさんの応募をお待ちしています。

山崎

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