2004年11月3日水曜日

「水面利用」

9日間だけ中ノ島の東に川のターミナルを作るという「天満埠頭」へ行く。天満埠頭は、僕が主宰する「けんちくの手帖」のイベントに来てくれた中谷ノボルさんや岩田雅希さんが関わっている「水都OSAKA」のプロジェクトだ。アトリエ・ワンの塚本由晴さんが大阪に来たときボートに乗せてくれた吉崎かおりさんもこのプロジェクトに関わっている。各人から話を聞いていたので、ぜひ期間中に現場へ行きたいと思っていた。

大川に浮かべられた桟橋の上に臨時のカフェが設営されており、その西側には船の発着所が設けられている。水に浮いた床面の上で食事をするのは不思議な気分だ。微妙な揺れが気分を落ち着けてくれる。隣の発着所から出て行く船や戻ってくる船を見ているだけでも飽きない。ついつい長居してしまった。

天満埠頭は、大阪の水辺を活用するための社会実験なのだという。こんな楽しい社会実験なら、ぜひ何度も繰り返して水面を気楽に利用できる世の中にして欲しいと思う。

前回僕らを船に乗せてくれた吉崎さんも現場に来ていた。彼女は自動車の運転免許を持っていない。当然、車も持っていない。しかし船舶の運転免許は持っていて、自分の船も持っている。中古船は、中古車を買うような値段で買うことができるそうだ。

彼女は船で大阪を移動している。どんなに道路が混んでいても、水路はいつもすいている。快適なドライブを楽しむことができる。ゆっくりできるときは、エンジンを止めて船の上でのんびり読書をするという。

普段は意識しないけれど、実は僕の知らないところで気持ちよく移動している人がいる。僕の目の前の道路がどれだけ渋滞していても、水路をのんびり移動している人がいる。水路を利用してみて、そのことを初めてリアルに感じた。

この感じ、かつてメーリングリストの存在を知ったときのようだ。僕の知らないところで大量の情報が移動しているという事実。このことを知ったとき、僕は新しい世界に出会った喜びと、そのことを今まで知らなかった悔しさを同時に感じた。すぐにいくつかのメーリングリストに登録したのを覚えている。今回も同じだ。さっそく僕は船舶の免許が欲しくなってきている。




天満埠頭

山崎

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