2005年1月20日木曜日

「貸本屋というレクリエーション」

夕方から四ツ橋にある「ちょうちょぼっこ」という貸本喫茶へ行く。貸本屋というとレトロなイメージだが、店内は本が多いカフェといった感じ。

最近はカフェにオーナーの趣味を反映した本が並んでいることも多い。うちの事務所の近くにある「カフェ天人(アマント)」「コモンカフェ」にも、オーナー所有の本が並んでいる。カフェを主として運営するのか/本を主として運営するのか、という違いはあるものの、僕にとってはどちらも居心地の良い空間である。

「ちょうちょぼっこ」は週末のみの営業。4人の若い女性が趣味の活動として交代で店に立つ。貸本は会員制で1週間100円/冊。喫茶利用の場合は自由に本を閲覧することができる。古本コーナーもあるので、気に入った本が見つかれば購入することもできる。

同じく週末だけ営業する古本屋が中崎町にある。「soramimibunco」という古本屋。60-70年代の建築やデザインの書籍を中心に扱う古本屋で、若い男女が2人で運営している。

「ちょうちょぼっこ」の運営者4人も「soramimibunco」の運営者2人も、平日は別の仕事をしている。そして週末になると好きな本に関わるプロジェクトを運営する。本好き数人が集まって運営者となり、同じく本が好きな人たちの集まる場所を運営する。これは副収入を狙った単なる副業とは違う質を持ったプロジェクトである。

お客さんの中には書店や出版社で働く「プロ」もいる。自分たちより本に詳しい人が店を訪れることも多い。そこに「経営者/客」あるいは「専門家/素人」というヒエラルキーは存在しない。趣味の活動として運営する空間に同じ趣味を持つ人が集まる。そこに存在するのはフラットな人間関係である。

「ちょうちょぼっこ」は、入会金、貸本代、飲食代、古本代の収入で家賃や光熱費を支払っている。儲けはほとんど無い。原資となる本は4人が気に入って買ったものを持ち寄る。店番は交代制で無償。楽しそうに運営している姿が印象的だった。

本好きが集まる空間を提供すること。本が好きな4人にとって、「ちょうちょぼっこ」の運営は週末のレクリエーション活動になっているようだ。レクリエーション活動が活発になると、往々にして「やりたいこと」よりも「やらなければいけないこと」が増えるケースが多い。こうした「プロジェクトの仕事化」をどう食い止めるのか。レクリエーションをレクリエーションのまま担保するにはどうしたらいいのか。「ちょうちょぼっこ」を先行事例として、これからじっくり観察したいと思う。

山崎

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