2009年5月23日土曜日

ゲーリーストリートからベイエリアへ

 よく歩いた1日である。まずホテルを出て南下し、ピエール・ルイジ・ネルヴィが構造設計を担当したセントメリー教会を見学する。天井に十字のスリットが入っていて、そこから光が入り込んでくる教会だ。内装は三角形のプレキャストコンクリートが少しずつ角度を変えながら三次曲線を作り出しており、場所ごとに違った光の反射をつくりだしている。外部はトラバーチンで覆われ、内部はプレキャストコンクリート。高さ50メートル以上ある巨大な4枚の壁面が4つのパイロンによって支えられている構成は構造設計の力強さと美しさを実感させる。
 さらに南下して、連邦庁舎やサンフランシスコ市役所界隈を見学し、そこから西へ向かってフィルモアストリートを北上する。フィルモアストリートは最近になってリノベーションなどが進んでいる地域で、大阪で言えば中崎町や中津界隈のような趣である。少しオシャレなお店などが並び、若い人たちが自分の店を持ち始めた雰囲気が初々しい。この道を北上すると、ジャズが盛んなエリアや日系人が多く住んでいるエリアを通り抜け、サンフランシスコ湾に面したベイエリアへと突き当たる。突き当たりにゴールデンゲート国立公園の本部があるというので訪れてみるが、日曜日なので職員は誰もいない。平日に再度訪れて、この付近の国立公園の全体像について確認してみたいと思う。
 その東側に、1960年代にローレンス・ハルプリンがリノベーションに関わったギラデリスクエアがある。ここはサンフランシスコで有名なチョコレートメーカーの工場があった場所をショッピングセンターに改修した場所だが、40年以上経った今でもかなり人気のある場所だ。寒い日であるにも関わらず、スクエア内は観光客だらけで、チョコレートを販売する店には行列が出来ていた。5年前に訪れた際には気づかなかったことだが、スクエア内は無料ワイヤレスLANが接続できるというサインが掲載されていた。今日はPCを持ち歩いていないので、明日にでもつながるかどうかを確認してみたいと思う。また、最近サイン計画やVIを刷新したようで、統一した黄緑色のサインが分かりやすく配置されているのも好感が持てる。現在も北側の建物が改修中であり、改修が住み次第、住居として売り出す予定だという。すでに販売も開始していた。40年経った今も、ギラデリスクエアは進化し続けているようだ。
 さらに近くにあるザ・キャナリーを訪れる。ギラデリスクエアと同じ時期に、ジョセフ・エシェリックが設計を担当したリノベーションショッピングセンター。かつてはデルモンテの工場だった場所だ。空間自体は悪くないのだが、こちらはギラデリスクエアに比べて閑散としていた。明らかにマネジメントの差である。テナントの種類などもギラデリスクエアに比べて見栄えがしないし、それぞれの店のしつらえもあまり活気が無い。設計が終わった後、その空間がどのようにマネジメントされていくのかによって、40年後の姿がこれほどまでに違ってくるのか、ということを実感する。
 さらに東へ向かうとフィッシャーマンズワーフやピア39といった観光地があり、それを抜けるとハルプリン設計のリーバイスプラザがあるのだが、観光客の多さと気温低下の寒さに負けてリーバイスプラザへ行くのは諦める。バスに乗って中華街へ行って夕食を済ませる。アメリカの食事はどうしても飽きてしまうので、朝と昼はアメリカっぽい食べ物でもいいのだが、夜はアジア系の食べ物でないと満足できない。

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